2026年5月2日

「うちの子、いつも口が開いているな…」
「寝ているときに口呼吸しているみたいで、朝起きると口の周りが乾いている」
そんなことが気になりながらも、「子どもだから仕方ないのかな」「そのうち直るだろう」と様子を見ているご家庭、多いと思います。
口呼吸は一見すると「呼吸の仕方の問題」のように思えますが、実は歯並びや顎の発育、さらにはお子さんの全身の健康にも関係していることがあります。とはいえ、「すぐに何か深刻なことが起きる」という話ではありませんので、まずは落ち着いて読んでいただければと思います。
今回は、子どもの口呼吸がなぜ起こるのか、歯並びとどんな関係があるのか、そして家庭でできる改善のヒントまでをわかりやすくお伝えします。
まず、鼻呼吸と口呼吸の違いをおさえておきましょう。
鼻で呼吸をするとき、空気は鼻の中を通る過程でフィルタリングされます。鼻毛や鼻の粘膜がほこりや細菌をある程度キャッチし、空気を適度に温めて加湿してから肺に届けます。いわば、鼻は天然のフィルター機能を持っているんです。
一方、口呼吸では空気がそのまま口から入ってきます。フィルタリングも加湿もされていないため、乾いた空気や細菌が直接のどや気道に入りやすくなります。その結果、風邪をひきやすくなったり、のどが乾燥しやすくなったりすることがあると言われています。
口腔内(お口の中)への影響も見逃せません。口呼吸をしていると口の中が乾燥しやすくなります。唾液には口の中を潤すだけでなく、細菌の増殖を抑えたり、歯を守ったりする働きがあります。唾液が減ると、むし歯や歯周病のリスクが高まることがあります。
「呼吸の仕方だけの話」と思っていたものが、実はお口全体の環境に関わっているんです。

では、口呼吸はなぜ歯並びに影響するのでしょうか。少し仕組みをお話しします。
私たちのお口の周りには、唇・頬・舌といった筋肉があります。歯はこれらの筋肉から内側と外側の両方向から力を受けながら、バランスのとれた位置に保たれています。鼻呼吸をしているとき、唇は自然に閉じており、舌は上顎(上あご)の裏側に軽く触れている状態が理想的です。
ところが口呼吸では、口が常に開いた状態になります。そうなると唇による外側からの力が弱まり、内側からの舌の力とのバランスが崩れやすくなります。その結果、上顎が横方向に十分に広がらず、歯が並ぶスペースが狭くなることがあります。歯並びがでこぼこになる「叢生(そうせい)」や、上の前歯が前方に傾く「上顎前突(じょうがくぜんとつ)」、いわゆる出っ歯の状態につながることがあると言われています。
また、口呼吸が続くと顔の筋肉の使い方も変わってきます。口がぽかんと開いた状態が長く続くことで、顔の下半分の筋肉が発達しにくくなり、いわゆる「アデノイド顔貌(がんぼう)」と呼ばれる特徴的な顔つきになることがあると言われています。これは顔が縦に長くなり、口元が締まりにくい状態のことです。
成長期のお子さんは顎の骨がまだ変化しやすい時期にあるため、口呼吸の影響を受けやすいとされています。だからこそ、早めに気づいて対処できると、それだけ選択肢が広がります。
「鼻で呼吸すればいいだけじゃないの?」と思う方もいるかもしれません。でも、口呼吸になるには多くの場合、何らかの原因があります。
最も多い原因のひとつが、鼻が詰まって鼻で呼吸しづらい状態です。アレルギー性鼻炎、慢性的な鼻詰まり、副鼻腔炎(蓄膿症)などがあると、鼻が通りにくくなるため自然と口で呼吸するようになります。花粉症や通年性のアレルギーを持つお子さんが増えている現代では、こうした背景から口呼吸になっているケースも多く見られます。
扁桃腺(へんとうせん)やアデノイド(鼻の奥にあるリンパ組織)が大きく腫れている場合も、鼻からのどへの空気の通り道が狭くなり、口呼吸になりやすくなります。
また、習慣として口呼吸が定着してしまっているケースもあります。もともと鼻詰まりがあって口呼吸を続けているうちに、鼻の通りが改善しても口で呼吸する癖が残ってしまう、というパターンです。
お子さんがなぜ口呼吸になっているのかによって、対処法も変わってきます。「鼻の問題なのか」「習慣なのか」「筋肉の問題なのか」を見極めることが、改善への第一歩になります。

口呼吸の改善に向けて、家庭でできることはいくつかあります。
まず、お子さんが口呼吸をしているときに気づいたら、「お口閉じてみようか」と穏やかに声をかけてみてください。叱ったり繰り返し強く注意したりすると、かえってストレスになることがあるので、あくまでも自然な声かけを心がけていただければと思います。
鼻詰まりが原因と思われる場合は、部屋の乾燥対策(加湿器の活用)や、アレルギーの管理(花粉症の時期の対策など)が助けになることがあります。症状が強い場合は、耳鼻科への相談も選択肢のひとつです。
口周りの筋肉を鍛えるトレーニングも、口呼吸の改善に役立つことがあります。「あいうべ体操」と呼ばれる口や舌を大きく動かす体操は、自宅でも気軽に取り組めるものとして知られています。「あ・い・う・べ」とゆっくり大きく口や舌を動かす動作を繰り返すもので、口周りの筋肉を使うトレーニングになります。
歯科的なアプローチとしては、口腔筋機能療法(MFT=Myofunctional Therapy)と呼ばれる舌や口周りの筋肉のトレーニングを取り入れている歯科医院もあります。歯並びへの影響が出始めている場合や、矯正治療と並行して行う場合などに活用されることがあります。
ただ、口呼吸の原因や対処法はお子さんによって異なります。「これをやれば治る」というひとつの答えがあるわけではないので、気になる場合は専門家に相談しながら対応を考えていくのが安心です。
最後に、口呼吸に気づくためのサインをお伝えします。「当てはまるかも」と感じたら、受診の参考にしてみてください。
日中、口がぽかんと開いていることが多い。食事中も口を閉じて噛むことが少ない。朝起きたときに口の周りや喉が乾燥している、または口臭が気になる。いびきをかく、または寝ているときに口が開いている。風邪をひきやすい、扁桃腺が腫れやすいといったことが続いている。こうした様子が当てはまるようであれば、一度専門家に診てもらうことをおすすめします。
また、歯並びの変化も確認のポイントになります。上の前歯が少し前に出てきた気がする、歯がでこぼこしてきた、などの変化に気づいたときも、歯科での確認が安心への一歩になります。
「うちの子、口呼吸かもしれない」「歯並びへの影響が心配」と感じていたら、どうぞ気軽にご相談ください。
足利市福居町のむらかみ歯科・矯正歯科では、口呼吸や歯並びに関するご相談も承っています。「まだ治療が必要かどうかわからない」「話だけ聞いてみたい」という来院でも、もちろん大歓迎です。お子さんのお口の状態を一緒に確認しながら、できることから考えていきましょう。
本記事は一般的な情報提供を目的としています。個別の症状や治療については、歯科医師へのご相談をおすすめします。
栃木県足利市福居町の歯医者「むらかみ歯科・矯正歯科」院長の村上智保です。
小児歯科・こどもの矯正を中心に、子どもから大人まで通いやすい歯科医院を目指しています。
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