「日本式」の根管治療の成功率は、だいたい50%程度とされていますが、「米国式」根管治療ではかなり高い成功率が報告されています。世界的には根管治療の成功率向上のための新たな治療法や先端技術が開発されていますが、日本では保険診療制度の制約から、欧米で一般的に使用されている技術や器具を活用することが難しく、その差が大きな問題となっています。
症例によっては、「米国式」根管治療が適用できず、抜歯となることもあります。特に、過去に「日本式」根管治療を行った歯の再治療の場合、「米国式」根管治療はできません。この場合、症状によっては歯根端切除術などで対応しますが、できない場合は抜歯となることもあります。
標準的な費用:44,000〜132,000円(税込)
当院では、これらの最新技術や器具を積極的に導入し、欧米と同等の成功率を誇る「米国式」根管治療を提供しています。具体的には、以下の特長があります。
・「マイクロスコープ」を使用した精密な治療
・「ラバーダム」による再感染の防止
・「ニッケルチタンファイル」を用いた感染部位の除去
当院の根管治療について、詳細を以下にご紹介します。
「マイクロスコープ」「高倍率ルーペ」による精密治療
根管は非常に複雑で、最も狭い部分でも直径が1mmに満たない箇所があります。このような根管から、細菌に感染した組織を完全に取り除くのは、非常に困難な作業です。さらに、多くの日本国内の歯科医院ではこの作業を肉眼で行っていますが、これでは限界があり、日本の根管治療の成功率が低い一因となっています。
当院では、歯科専用の顕微鏡「マイクロスコープ」を活用し、拡大した視野の中で治療を行っています。以下の画像は、マイクロスコープで観察した患部の状態です。肉眼に比べてどれだけ治療の精度が向上するか、お分かりいただけると思います。
複雑な根管を可視化する「CT」
根管は歯の内部にあるため、肉眼で確認することはできません。根管の形状を把握するには、X線検査が必要です。一般的な「レントゲン」はよく知られていますが、当院では「CT」を使用して検査を行っています。レントゲンが2次元画像しか提供しないのに対し、CTは口腔周囲を回転しながら撮影し、立体的で鮮明な画像を提供します。
以下の画像は、同じ患部をCTとレントゲンで撮影したものです。
左の画像はCTで、右の画像はレントゲンで撮影したものです。
赤丸で囲んだ部分に黒い影がありますが、ここが炎症が起こっている箇所です。しかし、レントゲンの画像ではこの影が確認できません。
つまり、レントゲンだけで診断すると、この炎症を見逃してしまう可能性が高くなるといいことです。気づかないうちに炎症が悪化して、抜歯が必要になることも考えられます。
当院では、このような事態を防ぐため、CTによる診断を徹底しています。
再感染を防止する「ラバーダム」
根管の炎症を引き起こすのは虫歯菌であり、根管内を無菌状態に保てるかどうかが治療の成否を分けます。
特に注意が必要なのは、唾液の浸入です。唾液には多くの細菌が含まれており、どれだけ根管内を殺菌消毒しても、ほんのわずかな唾液が入るだけで再発の原因になります。
そこで当院では、「ラバーダム」という器具を使用しています。ラバーダムは患部の周りをすき間なく覆うことができるゴム製のシートです。唾液が入り込まないようにすることで、無菌状態を保ったまま治療をすることが可能になります。ラバーダムの使用で、根管治療の成功率は劇的に向上します。米国では、ラバーダムを使用せずに根管治療を行うと歯科医師免許が取り消されるほど重要な器具ですが、日本ではほとんど使用されていません。
唾液を吸引し乾燥させる「ZOO」
「ZOO」は、バキュームを用いて歯の周りの唾液や湿気を吸引し、乾燥状態を維持する器具です。ケースによっては「ラバーダム」を使わずに「ZOO」を使用します。「ZOO」は乾燥させることで唾液を介した根管内への細菌の侵入を防ぎ、再発を予防します。また、バネが口を開いた状態を保持し、チューブが舌を避けるので、患者さんにとっても治療が楽になります。
感染部位を取り除く「ニッケルチタンファイル」
感染した神経組織を取り除くためには、「ファイル」というヤスリのような器具を使用します。多くの歯科医院ではステンレス製のファイルが使われていますが、ステンレスファイルは硬く、複雑な形状の根管にはうまく入らないため、内部の神経組織を完全に削り取れないことがあります。一方、「米国式」ではニッケルチタン製のファイルを使用します。ニッケルチタンファイルは柔軟で、根管の複雑な形状に適応し、感染部位を効果的に取り除くことができます。
殺菌洗浄する「EDTA」「次亜塩素酸ナトリウム」
感染部位を取り除くと、根管内には細かい削りカスが散らばります。これらの削りカスにも細菌が付着していますが、細かいものまで完全に除去することは非常に困難です。一部の歯科医院では削りカスを残したまま治療を終えることがあり、これも根管治療の成功率が低い一因となっています。
当院では、「EDTA」や「次亜塩素酸ナトリウム」など、殺菌力の高い薬剤を用いて根管内を徹底的に洗浄します。これにより削りカスが溶けて洗い流され、根管内が無菌状態になることで、治療の成功率が高まります。
「MTAセメント」で充てん
神経を取り除き、殺菌洗浄を行った後は、空洞となった根管内に「充てん剤」を詰めていきます。
一般的には「ガッタパーチャ」というゴム製の充てん剤が使用されますが、ガッタパーチャと歯の間には隙間ができやすく、細菌が侵入して再発の原因となることがあります。
当院では、「MTAセメント」を使用しています。MTAセメントには次のような特徴があります。
・固まる際に膨張するため、歯との間にすき間ができにくい
・強いアルカリ性で殺菌作用があり、虫歯菌の再繁殖を防ぐ
・非常に固くなり、神経を失った歯を内側から支えてくれる
・歯質を強化する効果がある
これらの取り組みにより、当院の根管治療は欧米に肩を並べる成功率を実現しています。