2026年4月19日

「子どもの歯並びが気になっているんだけど、まだ小学生だし矯正は早いのかな…」
そう思いながら、なかなか相談に踏み切れていない親御さん、多いと思います。
歯並びの矯正というと、中学生や高校生になってからブラケット(金属の装置)をつけるイメージを持っている方も多いかもしれません。でも実は、小学生のうちだからこそできる矯正治療があります。そのひとつが「床矯正(しょうきょうせい)」です。
「床矯正」という言葉、聞いたことはあるけれど詳しくはわからない、という方も多いのではないでしょうか。今回は、床矯正とはどんな治療なのか、どんなお子さんに向いているのか、そして気になる使い心地や注意点まで、できるだけわかりやすくお伝えしていきます。
床矯正の「床(しょう)」とは、入れ歯でいう「床(しょう)=土台部分」のことです。歯の裏側に沿うような形のプレート状の装置で、取り外しができるのが大きな特徴です。
この装置の中央部分にはネジが組み込まれていて、少しずつネジを回すことで装置が横方向に広がる仕組みになっています。装置がゆっくりと広がることで、顎の骨(歯槽骨=しそうこつ)を少しずつ側方に広げ、歯が並ぶためのスペースを作っていきます。
「顎の骨を広げる」と聞くと少し怖い印象を受けるかもしれませんが、子どもの顎の骨はまだ成長の途中にあり、大人に比べてやわらかく、変化しやすい状態です。この時期のやわらかさを活かして、骨に無理な力をかけず少しずつ広げていくのが床矯正の基本的な考え方です。
装置は取り外し式なので、食事や歯磨きのときは外すことができます。この点は、固定式の装置と比べてお子さんへの負担が少ない部分のひとつです。

床矯正が適している代表的な状態として、よく挙げられるのが「叢生(そうせい)」と呼ばれる歯並びです。叢生とは、歯がでこぼこに並んでいる状態のことで、歯が重なり合っていたり、歯列からはみ出した歯があったりします。一般的に「乱ぐい歯」とも呼ばれます。
叢生の多くは、顎の大きさに対して歯の大きさのバランスが合っていないことが原因です。顎が小さすぎて、歯が並びきらないイメージです。床矯正ではこの「顎の小ささ」の問題にアプローチし、歯が並ぶスペースを作ることを目指します。
ただ、床矯正がすべての歯並びに対応できるわけではありません。上下の顎のズレが大きい場合(受け口や重度の出っ歯など)や、骨格的な問題が大きい場合には、床矯正だけでは対応が難しいこともあります。どんな治療が適しているかは、実際にお口の状態を診て判断する必要がありますので、「うちの子に向いているかどうか」は、一度専門家に相談してみるのが一番です。
「もう少し大きくなってから矯正すればいいんじゃないか」と思う方もいるかもしれません。でも、床矯正を含む小児矯正(1期治療)には、成長期だからこそのメリットがあります。
先ほどもお伝えしたように、子どもの顎の骨は成長の途中にあるため、大人に比べて変化しやすい状態です。この時期に顎のスペースを広げることで、永久歯が自然に並びやすくなる環境を整えられる可能性があります。
また、成長を利用した治療ができるため、大人になってからの矯正と比べて抜歯(永久歯を抜いてスペースを作ること)が必要になるケースが少なくなる場合があります。歯を抜かずに治療が完結できる可能性が高まるのは、お子さんにとっても親御さんにとっても、大きな安心感につながるかもしれません。
ただし、小学生のうちに床矯正を行ったとしても、その後の成長によって再び歯並びが乱れることがあります。永久歯が生え揃った段階で改めて2期治療(ブラケット矯正やマウスピース矯正)が必要になる場合もありますので、「床矯正をすれば完全に終わり」とは限らない点は知っておいていただければと思います
。

「装置をちゃんとつけてくれるか心配」という親御さんの声もよく聞きます。
床矯正の装置は、歯の裏側に沿うように作られているため、口を閉じた状態では外から見えません。見た目が気になりやすい年頃のお子さんにとって、これは大きなメリットのひとつです。
慣れるまでの間は、話しづらさや違和感を感じることがあります。特に装着したばかりの頃は「さ行」「た行」の発音がしにくく感じるお子さんもいます。ただ、多くの場合は1〜2週間ほどで慣れてきます。学校での発表や行事が控えているときは、担当の歯科医師に相談しながら対応していくことができます。
取り外し式であるがゆえの注意点もあります。食事・歯磨き以外の時間はなるべく装着を続けることが治療効果につながります。「嫌だから外している」という時間が長くなると、十分な効果が得られにくくなることもあります。装置の管理やお子さんのモチベーション維持において、ご家族のサポートがとても大切な治療です
。
床矯正を検討する際に、事前に知っておいていただきたいことをいくつかお伝えします。
まず、治療を始めるタイミングについてです。床矯正は一般的に、永久歯への生え変わりが進む小学校低学年〜中学年のころが適しているとされることが多いです。ただ、お口の状態や成長の進み具合によって適切な開始時期は異なりますので、「まだ早いかな」と思っていても一度相談してみることをおすすめします。
次に、定期的な通院が必要になる点です。装置のネジ調整や、顎の広がり具合・歯の動きの確認のために、定期的に歯科医院を訪れていただく必要があります。通院の頻度は治療の段階によって変わりますが、月に1回程度が一般的です。
それから、床矯正はあくまでも矯正治療の「一つの選択肢」です。同じ小学生の矯正でも、お子さんの状態によってはマイオブレースなど他のアプローチが適している場合もあります。「床矯正がいいのか、他の方法がいいのか」は、実際にお口を診て相談しながら決めていくことになります。
「床矯正について、もう少し詳しく聞いてみたい」「うちの子の歯並び、一度見てもらえますか?」そんなお気持ちがあれば、ぜひ気軽にご連絡ください。
足利市福居町のむらかみ歯科・矯正歯科では、小児矯正の相談も承っています。「治療するかどうかまだ決めていない」「まずは話だけ聞きたい」という段階でも、もちろん大歓迎です。お子さんの歯並びや顎の成長について、一緒にゆっくり考えていきましょう。
本記事は一般的な情報提供を目的としています。個別の症状や治療については、歯科医師へのご相談をおすすめします。
栃木県足利市福居町の歯医者「むらかみ歯科・矯正歯科」院長の村上智保です。
小児歯科・こどもの矯正を中心に、子どもから大人まで通いやすい歯科医院を目指しています。
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