2026年8月15日

「矯正の装置をつけてから、食事のたびに汚れが気になって…」
「夏休みに入って生活リズムが崩れてきたせいか、歯磨きが雑になってきている気がする」
矯正治療中のお子さんを持つ親御さんから、こういったお声をよくいただきます。そういう方、本当に多いと思います。
矯正中は装置が入っているぶん、通常よりも汚れが溜まりやすく、むし歯や歯肉炎(歯茎の炎症)のリスクが高まりやすい状態です。学校がある時期は一定のリズムで生活できていても、夏休みに入ると食事の回数や内容が変わったり、歯磨きのタイミングが乱れやすくなったりすることがあります。
でも、ポイントさえ押さえておけば、夏休み中も口腔環境を良い状態に保つことは十分できます。今回は、矯正中のお子さんとその親御さんに向けて、夏休みに意識してほしい食事とケアのポイントをわかりやすくお伝えします。

まず、矯正中の口腔内がなぜ普段よりもケアが大切なのかを整理しておきましょう。
ブラケット(歯の表面に貼り付ける装置)とワイヤーを使った固定式の矯正装置がついている場合、装置の周囲や隙間に食べかすや歯垢(プラーク)が非常に溜まりやすくなります。歯ブラシの毛先が装置に引っかかって動かしにくいため、磨き残しが出やすいという難しさもあります。
溜まった汚れが長時間そのままになると、むし歯菌が活発に活動してむし歯が進行したり、歯茎が腫れて歯肉炎になったりすることがあります。矯正治療でせっかく歯並びを整えているのに、治療中にむし歯になってしまうというのは、できれば避けたいですよね。
取り外し式の矯正装置(マウスピース型や床矯正のプレートなど)を使っているお子さんの場合は、食事中に装置を外せるため、固定式に比べると食事の制限は少なめです。ただ、装置を外している時間が長くなりすぎると治療効果に影響するため、食事・歯磨き以外は装着を続けることが大切です。夏休み中は「なんとなく外したままにしている時間」が増えやすいので、特に意識しておいてください。
夏休みはバーベキューや花火大会、家族でのお出かけなど、いつもと違う食事の機会も増えます。矯正中だからといってすべてを我慢する必要はありませんが、装置に影響を与えやすい食べ物については少し知っておいていただけると助かります。
固定式の矯正装置をつけているお子さんが特に気をつけてほしいのが、「硬いもの」と「粘着性の高いもの」です。硬いせんべいやフランスパン、氷をガリガリ噛むといった行為は、ブラケットが外れたりワイヤーが変形したりする原因になることがあります。また、キャラメルやグミ、餅など粘り気の強い食べ物は、装置にくっついて取れにくくなるため、できれば避けた方が無難です。
夏に多い食べ物でいうと、とうもろこしをそのまま前歯でかじるのは装置への負担がかかりやすいです。食べる場合は一度包丁で粒を切り落としてから食べると装置への影響を減らせます。スイカも前歯でかじるよりカットして食べる方が安心です。
飲み物については、着色しやすいものに気をつけていただけると、装置周りの歯の変色予防になります。また、甘い飲み物をだらだら飲み続ける習慣は、矯正装置の周りにむし歯を作りやすくするため特に注意が必要です。

矯正中の歯磨きは、装置がない場合に比べて時間と手間がかかります。夏休みのような生活リズムが乱れやすい時期は、歯磨きが雑になってしまいがちです。でも、装置がついているこの時期こそ、ていねいなケアが大切です。
まず押さえてほしいのが、「食後は必ず磨く」というリズムを崩さないことです。夏休みは食事の時間が不規則になりやすいですが、何かを食べたら磨くという習慣を保つことが、むし歯予防の基本です。外出先ではすぐに磨けないこともありますが、そんなときは水でうがいをするだけでも、口の中の状態をある程度リセットできます。
歯磨きの際は、通常の歯ブラシに加えて「ワンタフトブラシ」(毛束がひとつになった小さなブラシ)を使うことをおすすめします。ブラケットのすぐそばや、歯と歯茎の境目など、普通の歯ブラシでは届きにくい部分をピンポイントで磨くことができます。「歯ブラシ1本でしっかり磨いているつもりなのに汚れが残っている」という場合は、ワンタフトブラシを取り入れてみてください。
歯と歯の間のケアには、フロス(糸ようじ)またはデンタルフロスも有効です。矯正装置があるとフロスが通しにくい場合がありますが、ワイヤーの下をフロスが通せる「フロススレッダー」という補助道具を使うと、矯正中でも使いやすくなります。
夏休み中は長期休暇ということもあり、「装置が外れた」「ワイヤーが当たって痛い」といったトラブルに気づいたとき、「先生に診てもらうタイミングがわからない」と迷う親御さんもいます。
ブラケットが外れた場合は、飲み込まないように気をつけながら保管しておき、なるべく早く歯科医院に連絡してください。外れた状態のまま長期間放置すると、その歯の治療計画に影響が出ることがあります。
ワイヤーが歯茎や頬の内側に当たって痛い場合は、歯科医院から処方・案内された矯正用ワックス(装置の尖った部分に貼り付けて粘膜を保護するもの)を使うと、応急処置として痛みを和らげることができます。自己判断でワイヤーを曲げたり切ったりしようとすると装置を傷める可能性がありますので、気になる場合は歯科医院に相談してください。
夏休み中の定期調整の予約は、早めに確認しておくことをおすすめします。長期休みの時期は予約が込み合うことがあるため、スケジュールを早めに押さえておくと安心です。
矯正治療は、日々の積み重ねで進んでいきます。夏休みの間もケアを続けることが、治療をより良い方向に進めることにつながっています。「最近ちゃんと磨けているか不安」「装置のことで気になることがある」という場合は、定期調整の際にぜひ声をかけてください。
足利市福居町のむらかみ歯科・矯正歯科では、矯正中のブラッシング指導や装置のトラブル対応も行っています。「歯磨きのやり方を改めて教えてほしい」「装置が気になっているけど診てもらえますか?」という来院でも、もちろん大歓迎です。夏休みの間も、お子さんの矯正治療を一緒にサポートしていきます。
本記事は一般的な情報提供を目的としています。個別の症状や治療については、歯科医師へのご相談をおすすめします。
栃木県足利市福居町の歯医者「むらかみ歯科・矯正歯科」院長の村上智保です。
小児歯科・こどもの矯正を中心に、子どもから大人まで通いやすい歯科医院を目指しています。
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