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8020運動ってなに?子どものころから始める生涯歯科健康の考え方

2026年11月7日

「8020運動って聞いたことはあるけど、実際どういう意味なんだろう」

「自分の歯を一生使い続けたいけど、子どものうちから何かできることはあるのかな」

そんなふうに感じている方、多いと思います。

「8020(はちまるにいまる)」という言葉は、歯科医院のポスターや自治体の広報などで目にしたことがあるかもしれません。でも、「高齢者向けの話でしょ?」「子どもにはまだ関係ない」と思っている方も少なくないのではないでしょうか。

実は、80歳になっても自分の歯を保つための土台は、子どものころからつくられていきます。今回は、8020運動の意味と背景、そして子どもの時期から始められる「一生ものの歯の健康づくり」の考え方を、できるだけわかりやすくお伝えします。

8020運動って、どんな運動?

8020運動とは、「80歳になっても20本以上の自分の歯を保とう」という運動のことです。1989年(平成元年)に、当時の厚生省(現在の厚生労働省)と日本歯科医師会が提唱して始まりました。

なぜ「20本」なのかというと、食べ物をおおむねしっかり噛める目安が、20本程度の歯が残っている状態だと考えられているためです。永久歯は全部で28本(親知らずを除く)ありますので、20本というのは、多少歯を失っても、ほぼ不自由なく食事を楽しめる本数と言えます。

運動が始まった当初、80歳で20本以上の歯を保っている方の割合は、1割にも満たなかったと言われています。その後、歯科医療の発展や予防意識の高まりによって、この割合は大きく増えてきました。近年の調査では、達成者の割合が5割を超えたと報告されています。

ただ、「達成者が増えた」からといって、これで終わりではありません。むしろ「もっと多くの人が、もっと健康な状態で達成できるように」という取り組みは、今も続いています。そしてその鍵を握っているのが、実は子どものころからの習慣なんです。

なぜ「歯を保つこと」がそんなに大切なの?

「歯が少なくなっても、入れ歯があるから大丈夫」と思う方もいるかもしれません。でも、自分の歯でしっかり噛めることには、想像以上に多くの意味があります。

まず、食事の楽しみや栄養のバランスに直結します。噛む力が弱くなると、硬いものや繊維の多い野菜などを避けるようになり、食事の内容が偏りやすくなると言われています。

また、よく噛むことは、脳への刺激や全身の健康にもつながると考えられています。噛む力と体力・認知機能との関連については、さまざまな研究が行われており、歯の本数が多い方ほど健康寿命が長い傾向があるという報告もあります。

さらに、しっかり噛めて、はっきり話せて、笑顔に自信が持てることは、毎日の生活の質(QOL)にも大きく関わってきます。「歯の健康」は、口の中だけの話ではなく、その人らしい生活を長く続けるための大切な基盤なんですね。

80歳の歯は、子どものころの習慣から始まっている

では、80歳まで歯を保つために、子どものうちから何ができるのでしょうか。

大人になってから歯を失う主な原因は、むし歯と歯周病(歯を支える歯ぐきや骨の病気)です。そして、このどちらも、子どものころの習慣が大きく影響していると考えられています。

たとえば、子どものころにむし歯を繰り返した歯は、治療のために削ったり詰めたりした部分が増えます。治療した歯は、その後も再びむし歯になりやすい傾向があります。逆に、子どものころからむし歯が少なく、健康な歯を保ってきた方は、大人になってからも歯を守りやすいと言われています。

また、生えたばかりの永久歯は、歯の質がまだ成熟しておらず、むし歯になりやすい時期です。この時期にしっかりケアをして、フッ素やシーラント(奥歯の溝をふさぐ予防処置)などを活用することは、将来の歯の健康を守るうえでとても意味があります。

さらに、歯並びも関係しています。歯並びがでこぼこしていると、歯みがきがしにくく、汚れが残りやすくなります。その状態が長く続くと、むし歯や歯周病のリスクが高まる可能性があります。小児矯正で歯並びや顎の発育を整えておくことが、将来の歯の健康につながる場合もあります。

子どものころから始めたい、3つの習慣

「8020のために、今日から何をすればいいの?」という方のために、取り組みやすいポイントを3つお伝えします。

ひとつ目は、毎日の歯みがきと仕上げみがきです。お子さんが小さいうちは、親御さんによる仕上げみがきが欠かせません。そして、少しずつ自分で磨く習慣を育てていきます。「毎日続ける」ことが一番の土台になります。完璧を目指さず、できる範囲で続けることが大切です。

ふたつ目は、フッ素の活用と食習慣の見直しです。フッ素入りの歯みがき粉の使用や、歯科医院での定期的なフッ素塗布は、歯の質を強くするのに役立つと考えられています。また、おやつの時間を決める、甘い飲み物をだらだら飲み続けないなど、食べ方の工夫もむし歯予防につながります。

みっつ目は、定期的な歯科検診の習慣づけです。「痛くなったら行く」のではなく、「何もなくても定期的に行く」という感覚を、子どものころから育てておくことが、一生の財産になります。小さいうちから歯科医院に慣れておくと、大人になってからも自然と通い続けやすくなると言われています。

親御さん自身の歯の健康も、子どもへのプレゼントに

最後に、少し視点を変えたお話をさせてください。

お子さんの歯の健康を考えるとき、実は親御さん自身の習慣も大きな影響を与えます。親御さんが歯みがきや定期検診を大切にしている姿を見て育ったお子さんは、それを自然な習慣として身につけやすいと言われています。

また、むし歯菌は主に身近な大人から子どもへ、唾液を介してうつることがあると考えられています。だからこそ、親御さん自身が口の中を清潔に保つことは、お子さんのむし歯予防にもつながります。

「子どものために」と頑張りすぎる必要はありません。ご家族みんなで一緒に定期検診に通う、夜は家族そろって歯みがきをする。そんな小さな習慣の積み重ねが、お子さんの「80歳になっても自分の歯で食べる」という未来を、静かに支えていくのだと思います。


「8020のために、子どものうちからできることを知りたい」「家族みんなで歯の健康を考えたい」そんな方は、どうぞお気軽にご相談ください。

足利市福居町のむらかみこどもファミリー歯科・矯正歯科では、小さなお子さんから大人の方まで、ご家族そろって通いやすい環境を整えています。「予防のことを聞くだけでもいいですか?」「まずは相談だけ」という来院でも、もちろん大歓迎です。一生ものの歯の健康を、一緒に育てていきましょう。


本記事は一般的な情報提供を目的としています。個別の症状や治療については、歯科医師へのご相談をおすすめします。


むらかみ歯科・矯正歯科 院長 村上智保

村上智保|むらかみこどもファミリー歯科・矯正歯科 BLOG

栃木県足利市福居町の歯医者「むらかみこどもファミリー歯科・矯正歯科」院長の村上智保です。
小児歯科・こどもの矯正を中心に、子どもから大人まで通いやすい歯科医院を目指しています。

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