2026年9月12日

「うちの子、なんかいつも口が開いてる気がするんだよね…」
「寝ているときにいびきをかいていて、もしかして口で呼吸してる?」
そんなことが気になりながらも、「子どもだからこんなものかな」と様子を見ているご家庭、多いと思います。
口呼吸は一見すると「呼吸の仕方のくせ」に見えますが、実は歯並びや顎の発育、さらにはお子さんの全身の健康とも深く関わっていることがあります。そして親御さんが気づきにくいのが、口呼吸はお子さん自身も「自分が口で呼吸していること」をほとんど意識していないという点です。
だからこそ、親御さんが日常の中でサインに気づき、必要であれば対処していくことがとても大切です。今回は、口呼吸のチェック方法と、家庭でできる鼻呼吸トレーニングを中心にお伝えします。

まず、なぜ口呼吸が歯並びに関係するのかを簡単に整理しておきます。
私たちの歯は、外側からは唇や頬の筋肉、内側からは舌の力が加わることでバランスを保ち、適切な位置に保たれています。鼻で呼吸しているとき、唇は自然に閉じており、舌は上顎(上あご)の裏側に軽く触れた状態が理想的です。
ところが口呼吸では、口が常に開いた状態になります。そうなると唇の力が弱まり、外からの圧力が減少します。この状態が続くと、上顎が横方向に十分に広がらず、歯が並ぶスペースが狭くなることがあります。結果として、歯がでこぼこに重なる「叢生(そうせい)」や、上の前歯が前方に傾く出っ歯の状態になりやすくなると言われています。
また、口がぽかんと開いた状態が長く続くと、顔の筋肉の使い方も変わってきます。口元が締まりにくくなり、顔の縦方向への成長が強まる傾向があるとも指摘されています。
成長期のお子さんは顎の骨がまだやわらかく変化しやすいため、口呼吸の影響を受けやすい状態にあります。だからこそ、早めに気づいて対処できると、その分だけ選択肢が広がります。

「口呼吸かどうか、どうやって確認すればいいの?」という方のために、家庭でできる簡単なチェック方法をいくつかご紹介します。
まず、日中の様子を観察してみてください。テレビを見ているとき、本を読んでいるとき、食事以外のリラックスしているときに、口がぽかんと開いていることが多いですか?唇を閉じることを意識していないときの「自然な状態」を観察することがポイントです。
次に、朝起きたときの口の状態を確認してみてください。起床時に口の中が乾燥している、唇がカサカサしている、のどが乾いてイガイガしている、という症状が続いている場合は、就寝中に口呼吸している可能性があります。
食事中の様子も参考になります。口を開けたまま食べていることが多い、クチャクチャと音を立てて食べる癖がある、というお子さんは口周りの筋肉の使い方に関わっていることがあります。
鼻の通り具合も確認してみてください。鼻が詰まっていてうまく鼻呼吸ができない状態が続いているなら、それが口呼吸の原因になっている可能性があります。花粉症やアレルギー性鼻炎、慢性的な鼻詰まりがある場合は、耳鼻科への相談も視野に入れてみてください。
口呼吸の改善を考えるとき、「鼻で呼吸するよう意識させる」だけでは十分でないことがあります。なぜなら、口呼吸にはいくつかの異なる原因があり、原因によって対処法が変わってくるからです。
最も多い原因のひとつが、鼻の問題です。アレルギー性鼻炎や花粉症による慢性的な鼻詰まり、副鼻腔炎(いわゆる蓄膿症)、扁桃腺やアデノイド(鼻の奥にあるリンパ組織)の肥大などがあると、鼻で呼吸しにくくなるため自然と口呼吸になります。この場合は、口呼吸そのものへの対処より先に、鼻の状態を改善することが根本的な解決につながります。耳鼻科を受診して原因を調べてもらうことをおすすめします。
一方、鼻の通りは問題ないのに口呼吸が習慣化しているケースもあります。もともと鼻が詰まっていた時期に口呼吸が定着し、鼻が治っても癖が残ってしまっている状態です。この場合は、口周りの筋肉を鍛えるトレーニングや、意識的に鼻呼吸を練習することが有効になってきます。
どちらの原因かを見極めることが、正しい対処への第一歩です。「なんとなく口が開いているな」と感じたら、まずは原因を考えてみることから始めてみてください。
鼻呼吸を促すためのトレーニングとして、家庭で気軽に取り組める方法をいくつかご紹介します。どれも特別な道具が不要で、毎日の生活の中に取り入れやすいものです。
あいうべ体操は、口周りの筋肉と舌を動かすシンプルな体操です。「あ・い・う・べ」とゆっくり大きく口や舌を動かします。「べ」のときは舌をできるだけ前に突き出して下に向けるのがポイントです。1セット4回として、1日30セット程度を目安に行うと効果的とされています。口周りの筋肉を鍛えることで、自然と口が閉じやすくなることが期待できます。お子さんと一緒に遊び感覚で取り組んでみてください。
鼻呼吸の意識づけとして、日中気づいたときに「お口閉じてみようか」と穏やかに声をかけることも続けていきましょう。叱るのではなく、さりげなく促す程度で構いません。お子さん自身が「気づいたら口を閉じる」という感覚を少しずつ身につけていくことが目標です。
**鼻洗浄(鼻うがい)**は、鼻の通りをよくするために有効な方法です。子ども用の鼻洗浄器具が市販されており、生理食塩水で鼻の中を洗い流すことで、鼻詰まりを改善しやすくなります。アレルギー性鼻炎のお子さんにも取り入れられていますが、初めて行う場合は正しい方法を確認してから始めてください。
これらのトレーニングは即効性があるものではなく、毎日継続することで少しずつ効果が現れてくるものです。焦らず、生活の一部として続けていただければと思います。
口呼吸と歯並びの関係が気になる場合、歯科医院でもいくつかのアプローチがあります。
口腔筋機能療法(MFT=Myofunctional Therapy)は、舌や口周りの筋肉のバランスを整えるためのトレーニングです。舌の正しい位置や動かし方を練習することで、口呼吸の改善や歯並びへの悪影響を抑える効果が期待されています。矯正治療と並行して取り入れられることも多く、治療効果をより持続させる助けになると考えられています。
歯並びへの影響がすでに出始めている場合は、矯正治療の相談も選択肢のひとつになります。口呼吸によって上顎が狭くなっている場合、顎を広げる装置を使って歯が並ぶスペースを確保するアプローチが検討されることがあります。
ただ、これらの対応が必要かどうかはお子さんの状態によって異なります。「口呼吸が気になっている」という段階でまず歯科に相談することで、今の歯並びや顎の状態を確認してもらい、必要なアドバイスをもらうことができます。「まだ治療が必要かどうかわからない」という段階でも、情報を知っておくことが今後の対応に役立ちます。
「うちの子、口呼吸かもしれない」「歯並びへの影響が心配」「鼻呼吸トレーニングのやり方をもう少し詳しく知りたい」そんな方は、どうぞお気軽にご相談ください。
足利市福居町のむらかみ歯科・矯正歯科では、口呼吸や歯並び、口周りの筋肉に関するご相談にも対応しています。「治療が必要かどうかまだわからない」「まず話を聞いてみたい」という来院でも、もちろん大歓迎です。お子さんのお口の状態を一緒に確認しながら、できることを一緒に考えていきましょう。
本記事は一般的な情報提供を目的としています。個別の症状や治療については、歯科医師へのご相談をおすすめします
。
栃木県足利市福居町の歯医者「むらかみ歯科・矯正歯科」院長の村上智保です。
小児歯科・こどもの矯正を中心に、子どもから大人まで通いやすい歯科医院を目指しています。
東武和泉駅徒歩7分/駐車場20台完備
公式サイトはこちら
当院では、患者さんが抱えていらっしゃるお口のお悩みや疑問・不安などにお応えする機会を設けております。どんなことでも構いませんので、私たちにお話ししていただけたらと思います。
ご興味がある方は下記からお問い合わせください。