2026年7月11日

「うちの子、サッカーを始めたんだけど、歯のことって何か気をつけることある?」
「ラグビーや格闘技をやっている子どもにマウスガードが必要って聞いたけど、本当に必要なの?」
お子さんがスポーツを始めるタイミングで、こんな疑問を持つ親御さんも多いと思います。
スポーツ中の歯のケガは、意外と身近なところで起きています。転倒して前歯をぶつけた、相手の肘が顔に当たって歯が折れた、ボールが口元に直撃した…こうした事故は、スポーツの種類を問わずさまざまな場面で起こりえます。
でも、適切な予防策を知っておくことで、リスクを大幅に減らすことができます。今回は、スポーツと歯の関係、そしてマウスガードの役割や選び方について、わかりやすくお伝えします。
「まさかうちの子が」と思っている親御さんも多いかもしれませんが、スポーツに関連した口腔・歯のケガは、子どもの外傷の中でも比較的多く見られます。
特に起こりやすいのが、前歯の破折(歯が欠けたり折れたりすること)や脱臼(歯が位置からずれること)、そして完全脱落(歯が抜けてしまうこと)です。前歯は口の中で最も前方に出ているため、転倒や接触事故の際にダメージを受けやすい位置にあります。
また、顎への衝撃は歯だけでなく、顎の関節や骨にダメージを与えることもあります。強い衝撃が加わった場合、外見上は問題なさそうに見えても、歯の根っこや周囲の骨に影響が出ていることがあります。「ぶつけたけど痛くないから大丈夫」と判断せず、強い衝撃を受けた後は一度歯科で確認してもらうことをおすすめします。
成長期の子どもの歯はまだ発達途中にあり、根っこが完成していない永久歯もあります。大人と同じケガでも、子どもへの影響が大きくなる場合があるという点も、頭に入れておいていただけると安心です。

マウスガードの使用が特に推奨されやすいスポーツとして、接触プレーや転倒・衝突のリスクが高いものが挙げられます。
ラグビーやアメリカンフットボール、柔道・レスリングなどの格闘技系は、相手と直接体が接触するためリスクが高く、競技規則でマウスガードの着用を義務付けているものもあります。
バスケットボールやサッカー、ハンドボールなど、激しい動きの中で接触が起きやすい球技も、マウスガードの使用を検討したいスポーツです。特にサッカーは「接触の少ないスポーツ」というイメージがあるかもしれませんが、ヘディングや混戦でのプレー中に顔面を打つケガは少なくありません。
野球・ソフトボールやテニス、バドミントンなども、ボールやラケットが顔面に当たるリスクがゼロではないため、ポジションやプレースタイルによっては検討する価値があります。
スケートボードや自転車など、転倒時に顔を打つリスクがあるスポーツも同様です。
「うちの子がやっているスポーツは大丈夫かな」と迷う場合は、「接触や転倒のリスクがあるかどうか」を基準に考えてみてください。競技の激しさにかかわらず、顔・口元へのリスクがあるスポーツであれば、マウスガードは有効な予防手段になりえます。
マウスガードとは、上の歯列に装着するシリコン素材などでできたスポーツ用の口腔内保護装置です。口元への衝撃を和らげ、歯・歯茎・顎・舌・口唇などを守る目的で使用されます。
具体的な効果としては、まず歯の破折や脱落の防止が挙げられます。マウスガードがクッションの役割を果たすことで、直接的な衝撃が歯に伝わりにくくなります。
次に、顎への衝撃を分散する効果があります。下顎に衝撃が加わったとき、マウスガードが上下の歯の間にクッションを作ることで、顎関節や顎の骨へのダメージを緩和する助けになります。
さらに、脳への衝撃緩和への貢献も指摘されています。下顎への衝撃は頭部に伝わる経路があるとされており、マウスガードがその伝達を和らげる可能性があると考えられています。ただ、脳震盪そのものを完全に防ぐものではないため、過信は禁物です。
また、唇・舌・頬の内側の粘膜を、歯との接触から守る効果もあります。転倒や衝突の際に、口の中を切るケガはよくありますが、マウスガードが間に入ることでこうしたケガを減らせることがあります。

マウスガードには大きく分けて、市販されているものと、歯科医院でオーダーメイドで作製するものがあります。それぞれの特徴を知った上で、お子さんの状況に合わせて選んでいただければと思います。
市販のマウスガードは、スポーツ用品店などで手軽に購入できます。種類によっては、お湯で柔らかくしてから口に合わせて成形するタイプ(ボイルアンドバイト型)もあります。手軽さとコストの面では優れていますが、フィット感は個人の歯列に合わせて作られるオーダーメイドに比べると劣ることが多いです。
歯科医院で作製するカスタムメイドのマウスガードは、歯型を取って個人の歯列に合わせて作製するため、フィット感・保護性能・装着時の快適性がいずれも優れています。しゃべりやすい・呼吸しやすいという点で、子どもの競技パフォーマンスへの影響も少ないとされています。
成長期のお子さんの場合、歯が生え変わったり顎が成長したりすることで、定期的な作り直しが必要になることがあります。この点は歯科医師に相談しながら対応していきましょう。
「まずどちらを選べばいい?」と迷っている場合は、競技への真剣度や接触リスクの高さ、お子さんの歯並びの状況などを踏まえて、歯科医師に相談してみることをおすすめします。
矯正治療中のお子さんから「マウスガードはつけられないの?」というご質問をいただくことがあります。
矯正装置(ブラケットやワイヤー)をつけている状態でも、マウスガードを使用すること自体は可能です。ただ、装置の上に合わせたマウスガードを作製する必要があるため、市販品よりも歯科医院でのカスタムメイドが適しています。また、矯正装置が変わるたびにマウスガードの調整や作り直しが必要になる場合もあります。
取り外し式の矯正装置(マウスピース型矯正など)を使用しているお子さんの場合は、スポーツ中は矯正装置を外してマウスガードを装着するという使い分けをすることもあります。どのように対応するかは、矯正の状況とスポーツの内容によって異なりますので、担当の歯科医師に相談してみてください。
矯正中だからとスポーツをあきらめる必要はありません。安全に競技を続けるための方法を一緒に考えていきましょう。
「うちの子のスポーツにマウスガードは必要かな」「歯科でマウスガードを作ってもらいたい」「矯正中だけどスポーツを続けたい」といったことでお悩みでしたら、ぜひお気軽にご相談ください。
足利市福居町のむらかみ歯科・矯正歯科では、スポーツ用マウスガードの作製や、スポーツ中の歯のケガに関するご相談にも対応しています。「どのタイプが合っているか教えてほしい」「まず話だけ聞きたい」という来院でも、もちろん歓迎です。お子さんが安心してスポーツを楽しめるよう、一緒に考えていきましょう。
本記事は一般的な情報提供を目的としています。個別の症状や治療については、歯科医師へのご相談をおすすめします。
栃木県足利市福居町の歯医者「むらかみ歯科・矯正歯科」院長の村上智保です。
小児歯科・こどもの矯正を中心に、子どもから大人まで通いやすい歯科医院を目指しています。
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